BLP-Networkメンバーへのインタビュー企画第5弾!
5人目に登場してくださるのは、子どもや教育問題を中心に幅広い業務分野に取り組まれている五十嵐裕美子弁護士です。五十嵐弁護士に、BLP-Networkに参加された経緯や今後取り組んでいきたいことについてお話を伺いました。
―まずはご経歴についてお聞かせください。
弁護士登録後すぐ、いわゆる大手渉外事務所に入所しました。主に金融法務を扱う部署に所属し、在職中には2年間金融機関でお仕事をする機会もいただきました。ファイナンス関係のお仕事はとても複雑ではあるのですが、日々の業務を通じて社会の動きをダイレクトに感じることができるので、とてもおもしろいと感じていました。
しかし、そもそも私が弁護士を志したのは、「何も悪いことをしていないのに、つらい思いをしたり弱い立場に立たされたりするような人々のために働きたい」という想いが原点にあります。金融法務のお仕事には非常にやりがいを感じながらも、日に日にその想いが強くなっていきました。そして、子どもなどの社会的に弱い立場の問題に取り組もうと一念発起し、事務所を退職して個人事務所を立ち上げることとなったのです。
―独立されてからはどのようなお仕事をされているのでしょうか。
独立後は社会的養護が必要な子どもの問題や学校問題、高齢者問題などの福祉に関わる分野から公益的事業の分野まで、幅広く積極的に取り組んでいます。個人の方の代理人だけではなく、企業や行政など法人の代理人の立場にも立つことで、問題解決のための視野を広げることができているので、とてもやりがいが感じられますね。
昨今では、公益的な事業にお金を回すために、世の中に与える公益的な影響を評価しながら投資をしていこう、という風潮があります。その流れの中で、活動資金を得たいNPO法人だけでなく、行政など資金を出すほうの立場に立ってサポートを行うという活動にも携わるようになりました。そこには、以前渉外事務所で行っていたファンド関係の業務経験が生きているので、何ひとつ無駄な経験はないのだなと感じています。
―そのような幅広い活動に取り組まれている五十嵐先生が、BLPに入られたのはどういったことがきっかけだったのでしょうか?
独立する少し前に、子どもに関する事業や貧困問題に取り組んでいるファンドへ個人で小口投資をしたことがあったんです。後日、投資家への報告パーティーにお招きいただいたときに、会場でたまたまBLPの活動をしている弁護士の先生に出会いました。その先生といろいろお話をしていく中で、「興味があるなら、一度BLPの集まりに来てみませんか」とお誘いいただいたのがBLPに入会したきっかけですね。
BLPでは、NPO・NGOを始めとするさまざまな団体とのご縁をいただいており、各種公益的事業、特に子どもにまつわる事業や前職の経験が活かせるファンド関係の事業などに多く携わっています。
―BLPで活動をされている中で受けるご相談は、どのような内容のものが多いのでしょうか。
事業の開始段階では、リスク管理や各種規制などの確認、契約書チェックなどに関するご相談を多くお受けしております。また、組織運営が始まった段階では、個人情報や知的財産の管理や人事・労務問題などに関するお悩みがよく寄せられております。
―NPOの活動を弁護士がサポートするメリットはどこにあるのでしょうか?
例えば、高齢者支援のNPOの新規業務立ち上げ時には、行政が手を出しづらくNPOの活躍が期待される分野はどこなのか、逆にどこから福祉行政や警察に委ねるべきなのかについて、慎重な検討が必要です。その際、その団体の組織構造やメンバーの属性をみながら、負担しきれないリスクを負うことにならないよう、十分配慮しなければなりません。
社会問題の解決に取り組むNPO等の団体が行う事業は、行政の隙間を埋めるような内容であることも多くあります。そのため、行政の動きを意識した事業設計を行い、時には行政とコンタクトをとって連携することもあるでしょう。
弁護士であれば、高齢者支援を行う団体が、高齢者本人や親族・後見人、医療・福祉行政を含む利害関係者との間で、どのような紛争に巻き込まれる可能性があるか、業務経験からある程度予測ができます。また、弁護士は行政と密に連携することが日常的に発生するため、行政の考え方や対応の仕方を加味したアドバイスをすることも可能です。
―それは心強いですね。事業設計段階や運営段階では弁護士に対してどのようなサポートが期待できるのか、もう少し詳しく教えてもらえますか?
メンバーの善意で成り立つ非営利の活動では、メンバーのモチベーションを保つことがなによりも大事です。そのためにも、特に事業設計段階でメンバーをトラブルから守るための丁寧な調整が特に重要であると感じています。具体的にいうと、必然的に紛争が生じる業務を避け、紛争に巻き込まれるのを防ぐための対策を万全にしておくことが必要です。
弁護士なら紛争の起きやすいポイントを熟知しておりますので、事前にそのポイントを把握するためにも、弁護士のサポートをぜひ積極的に活用していただきたいですね。
―業務運営が開始した段階ではいかがでしょうか?
業務運営段階では、個人情報保護法関連の対策についてよくご相談をいただきます。個人情報保護法や各種ガイドラインを読んでも、法令を遵守するために具体的にどのような対応を取ればよいのか、あまりイメージがわかずお困りの方がけっこういらっしゃるんですね。
BLPには企業法務を専門とする弁護士が多数所属しており、個々の業務内容に合わせた個人情報保護法対応マニュアルや同意書などの作成経験を多く積んできています。そのため、それらの経験を生かして、具体的なアドバイスができると思います。
―これから弁護士にサポートを依頼しようと考えているNPOやNGOの方へ、メッセージをお願い致します。
トラブルの性質、団体の規模や実績などによって、対処法は変わってきます。長期的視野に立った対応を行い、速やかに問題解決を図るべく、弁護士をぜひご活用いただきたいですね。どのような対応を取ればどのような結果が予測できるかを具体的に把握するためにも、お気軽にBLPの弁護士にご相談ください。
NPOやNGOも、志ある人の集まりという意味では企業と同じ。そのため、抱える問題も企業とあまり変わりません。BLP-Networkには、企業法務の経験が豊富な弁護士が多く所属しているので、NPOの代表やスタッフの方にとっても心強い味方となるでしょう。今回は貴重なお話をありがとうございました。